大崎八幡宮のどんと祭のお焚き上げの灰の放射性セシウム濃度

昨年末から、宮城県内各地の薪を燃やした後の灰を測っております。
そこで気になるのが、どんと祭で正月飾りなどをお焚き上げで燃やした後の灰です。
どの程度放射性物質が濃縮されているでしょうか?
どんと祭りで燃やすものというと、前の年に買ったお札、暮れに買った正月飾りのしめ縄や松飾りなど。
お札は震災前につくられたものですし、しめ縄の原料は稲わら、松飾りも夏に葉が生え替わった新しいものでしょうから、あまり放射性物質は含まれていないんじゃないか?、とも思います。
でも、測ってみないとわかりませんよね。事前に燃焼試験を行えば大丈夫かどうかわかると思うのですが、行政がそのような調査を行ったという話は全く聞かないうちに、どんと祭を迎えてしまいました。

いいでしょう、わたしが燃やした後の灰を測ってみましょう!

どんと祭り当日、我が家は近所の大崎八幡宮に、お札と黄鮒を燃やしにいきました。
どちらも、震災前につくられて屋内に保管していたものなので、燃やしても問題ないはずですが。

しかし、スゴイ山です。風が強い日は、火の子が遠くまで飛んで行くのが見えるんですよね。
この煙を頭からかぶれば、今年1年は風邪をひかない、と言われており、みんな火の周りに寄ります。
火のすぐそばは、裸参りの方々がグルグル回ります。この写真を撮った時はちょうど、地元の有名企業の団体さんが来ているところでした。

さて翌日の朝、灰を採取しに行ってみましたが。。。

なんとまだ燃えています。しかも朝になっても燃やしにくる人が次々に来ていました。

しかしこの灰、よく見ると針金だの杯だの、わけのわからないものも混じっています。なんなんだいったい?

この灰の周囲の空間線量は0.07μSv/h程度だったのに、この広がっている灰の上で測ると、0.10μSv/h程度に上昇しました。
確かにこの灰のあたりには、放射性物質が若干含まれているようです。
この灰を採取して測ってみました。

測定に使用した機器は1inch NaI(Tl)スペクトロメーター(テクノAP TN100)、700mlマリネリ容器で60分測定しました。試料の量は248gでした。
さて結果は!

  • 134Cs : 87Bq/kg
  • 137Cs :116Bq/kg

と、放射性セシウム合計では概ね200Bq/kgでした。
これは、仙台市内の平均的な土壌の放射性セシウムの濃度とほぼ同じ程度です。

考えてみれば神社の境内の0.07μSv/hの線量は、かなり雨で洗い流された場所で測った値であり、仙台市内の土の上ではこれは概ね0.10μSv/h程度になります。
土の放射性セシウム濃度と同じ程度の灰が広がっているのだから、その上で空間線量を測っても土の上とほぼ同じ程度の値がでるわけですね。
灰の上で測った時に一瞬、「げげ、上がった!」と少しビックリしましたが、その数値をよく考えてみればそれほど恐れることはありませんでした。

どんと祭で燃やした放射性物質が拡散するのでは?、と心配される方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも仙台市内では灰自体が土とほぼ同じ放射性セシウム濃度ですので、どんと祭の煙も土埃が飛ぶ場合と同程度の飛散量と思われます。
福島県内など、どんと祭を中止したところも多いようですが、燃やすものを考えれば問題なかったのでは?、と思います。
心配なら事前に燃焼試験をして白黒つけておけばよかったのにね。

さてオマケ。裸参りの保存会のみなさんです。

毎年見てますが、カッコいい!

元天賞苑の八幡杜の館から出発する際の記念写真。

残念ながら川崎町に移転した天賞酒造はこの震災で廃業されてしまいましたが、この文化は今後も続けていきたいものです。