テクノエーピー社製 Mini スペクトル線量計TA100の実力を探る
最近、意欲的な放射線測定器を開発しているテクノエーピー社、最近発売されたばかりのCdTe半導体センサーを採用したスペクトルメーターTA100を試す機会がありましたので、紹介します。
http://www.measureworks.co.jp/TA100.html
20万円を切る価格のスペクトルメーター、おそらく世界最安だと思います。
よーし、おれが最初だ!、と思ったのですが、線源を使わせてもらうのにモタモタしているうちに、早野先生に先を越されてしまいました ^^
22Na: http://twitpic.com/6kruhi
60Co: http://twitpic.com/6krx2d
137Cs: http://twitpic.com/6krzkb
しかし。。。これ、137Cs以外はかなりナヨっちー線源使ってません?
ということで、活きのいいやつで試してみました!
まずは「野性」環境下のアイソトープ、飯館村のお土産で試してみましょう。
いやぁこの数値は、いつ見ても心拍数上がります。
さすがにこれだけタップリあると、ものの数分でビシッときれいなスペクトルが表示され、134Csと137Csの核種のピークがバッチリ分離されます。
うーん、素晴らしい!
こんな武器が、20万円を切る価格で手に入るなんて、時代は変わったものです。
さてお次は色々な密封線源、まずは基本の137Cs。
んー、なかなか元気なもの選んできましたね。さてこいつのスペクトルは?
ピークが低エネルギー側に多少だらけ、さらに低いところに影のようにコンプトンエッジの肩が出る、これがCdTeの特徴です。
134Csと137Csのうち、単品だとこうなります。
あと10年くらいしたら、見えるのはこういう感じになるんでしょうね。
お次は22Na。
ギョギョギョ、こいつは活きが良すぎます!
さすがに3桁はアブナイので、慌てて撮ってちょっとピン惚けになっちゃいました。
あれ?、511keVの対消滅を拾って、18Fと同定されちゃいました。
1275keVのピークがこんなビシっと出ているのに。。。
もしかして、β+崩壊する核種、全部18Fになっちゃう??
それと、100μSv/h超える環境だと、右上の線量がスケールアウトしちゃうんですね。
メーカーからしてみると「イジワル言わないでよ」かもしれませんけど ^^
あと、なんでだか知りませんが、134Csのピークがあることになってます。。。
(そんなのいったいどこに???)
さて、お次も基本の60Co。
1173keVと1333keVの二つのピークがしっかり出ています。
ただ、1333keVのコンプトンエッジと、1173keVのピークが重なっているのが、ちょっと注意です。
で、ここにも、どういうわけか134Csのピークがあることになってます。。。
125Eu
多少暴れ気味ですが、122keV, 245keV, 344keVのピークがしっかり出ています。
が、同定されたのはなぜか212Pb ^^
ということで、結晶の小さいCdTe特有のコンプトンエッジの癖が出るものの、各核種のピークはかなりしっかり見極めることができそうです。
でも核種同定機能は、「もうちょっとがんばりましょう」かなぁ?
メーカーからしてみれば、「こんな線源で試さないでください」ってことかもしれませんが ^^
まぁ実用上は、これだけ134Csと137Csがキッチリ分かれて見えれば万々歳、ちょーお買い得の逸品だと思います。